近年、外国の方から日本の犬が大変人気があり、わざわざ日本犬の子犬を買うために日本にやってくる外国人も少なくありません。
そんな日本犬の中でも、柴犬は丈夫で長生きし、飼いやすいと評判なのですが、柴犬についてもっと詳しく調べてみました。
「柴犬の歴史」
まずは、柴犬の歴史から紐解いていきましょう。
<年代>
柴犬の起源でもある、元となった犬は縄文時代に発現した「縄文犬」だと言われています。ただし、柴犬として指定登録されたのは、1936年昭和11年のことです。
<原産国>
柴犬の原産国は、日本です。
かつて、柴犬を含めた日本を原産国とする犬は、単に「日本犬」として区分されていました。
そこから、日本犬として7犬種が確立され、(現存するのは6犬種)がそれらは天然記念物として指定されています。
柴犬も、この7犬種のうちの1犬種であり、つまり柴犬は天然記念物として指定されているのです。
<犬種名の由来>
一般的には、「柴」は小ぶりな雑木を指しています。
このことから、日本犬の中でも小型犬として部類されているこの犬が「柴犬」と呼ばれるようになりました。
また、由来には諸説があり、
1.柴藪を巧みにくぐり抜けて猟を助けることから
2.赤褐色の毛色が枯れ柴に似ている(柴赤)ことから
3.小さなものを表す古語の「柴」から
の3つの説が代表的な説だとされています。
<種類>
柴犬には、種類はありません。
最近特に人気のある、小さなタイプの柴犬が、「豆柴」という種類で売られていることがありますが、JKC(ジャパンケネルクラブ)では、これは種類として認められていません。ようするに、豆柴は公認された種類というわけでなく、あくまでも小さな柴犬を「豆柴」と呼んでいる通称に過ぎません。
豆柴と呼ばれる、小さな柴犬は両親となるオス犬とメス犬両方の柴犬をできるだけ小ぶりのものを選んで交配させ、産ませることで小さなサイズの柴犬、つまり「豆柴」が生まれることが多いのは確かです。
しかし、小さな柴犬は高額で販売できることから、無理な交配をさせたり、子犬の時期に「豆柴サイズで収まる」など根拠のない販売文句で販売してしまい、実際に成長したら思いのほか大きく育ったというようなことによる、トラブルが最近では相次いでいます。
「柴犬の特徴」
次に、柴犬の特徴を細かく見ていくことにしましょう。
<毛色>
柴犬の毛色は、公式に登録されているのは4色です。
赤色、白色、黒色、胡麻色の4種類です。
赤色は、よく見る一般的な赤毛(茶色)の柴犬です。白色は、真っ白な毛色、黒色は洋犬ではブラックタンと呼ばれる毛色で、目の上の眉の位置だけ白い毛であることから、マロ眉というような呼ばれ方もします。
胡麻色というのは、少し珍しい毛色で、ベースは赤毛なのですが、そこに黒い差し毛が混じっている状態の毛色のことを言います。
柴犬の毛色では「胡麻色」と呼びますが、洋犬では「セーブルカラー」と呼ばれている毛色です。ただし、珍しい毛色だからといって遺伝的に何か問題があるというわけではないため安心してください。
<大きさ(高さ、体重)>
柴犬の一般的な大きさですが、オスは体高38 – 41cm、メスは35 – 38cmが平均です。
体重は、オスの平均は9~11㎏、メスは7~9㎏が平均です。
<臭い>
本来、柴犬は体臭が強い犬種ではありません。
もちろん、動物ですので定期的にお風呂に入れてやらないと、徐々に獣臭がしてきますので、2~3週間に1度程度、洗ってあげる必要があります。
また、臭いはその犬が何を食べているかも、大きな要因で、油の悪い粗悪なドッグフードを食べさせていると、体臭もきつくなりますし、身体全体がべたつき、皮膚疾患に悩まされる原因ともなってしまいます。
また、病気などで内臓が悪い場合も、臭いが酷くなります。
この場合は、内臓の悪臭が口臭となって出てきます。内臓疾患の他には、歯周病などで口臭が酷くなることも多いです。
<寿命>
柴犬などの、日本原産のワンちゃんは比較的寿命が長いのが特徴です。
もちろん個体差はありますが、長寿の場合は20歳以上生きる犬もいます。ただし、これはあくまでも日本で日本犬を飼育している場合に限ります。柴犬などの日本犬を海外で飼っている場合は、また寿命は違ってきます。
この理由としては、日本犬には日本で過ごすのが一番合っており、その情報は遺伝情報として体内に組み込まれているからだという説もあります。
同様に、外国産の洋犬の場合は、原産国では長生きするが日本では寿命が縮むという傾向は確かにあります。
<性格>
柴犬の性格は、一見温厚そうに見えますが、大胆で独立心が強く、頑固な面を持ち合わせています。洋犬のように、従順というわけではないため、時に訓練が難しい場合もあるようです。
警戒心が強い柴犬もいますし、友好的な柴犬もいますので、一概にはどうとは言えませんが、警戒心が強いタイプの柴犬は、番犬向きだと言えますね。
なお、日本犬の一般的な性格として、主人と認めた人間に比較的忠実で、警戒心と攻撃性が強めという傾向があります。
柴犬の中には、凶暴な性格の犬もいて、飼い主までもを噛む犬もおりますし、雌よりも雄の方が比較的獰猛であるという傾向にあります。
また、日本でも古くから猟犬として飼われていた歴史があることから、視界は動くものを追って攻撃し、また捕らえようとする捕食本能が極めて強いのが柴犬の特徴でもあります。
柴犬を含む日本犬は、祖先である狼から派生しましたが、狼の原型をとどめている部分が多く占めているため、どちらかと言えばペットタイプではありません。
もちろん、犬の性格は飼い主の飼い方に依存するため、温厚で友好的、表情豊かでわかりやすい性格の柴犬もたくさんいます。
「柴犬の飼い方」
次に、柴犬の飼い方について詳しくご説明していきましょう。
柴犬は、初心者の方にも比較的飼いやすい犬種ですし、何より丈夫で長生きしてくれるので、正しい飼い方をすれば長くあなたのパートナーとして活躍してくれることでしょう。
<飼う場所(室内)>
一昔前までは、日本人の感覚の中に、日本犬に限らず「犬は外で飼うものだ」というのが常識であった時代がありました。
今でも、田舎の方では柴犬など日本犬は外で飼われているケースも少なくありません。
ですが、柴犬など日本犬であっても、できれば外で飼育せずに家の中で飼育するように心がけましょう。
各御家庭で、さまざまなご事情はあるかとは思いますが、外で飼育するにはフィラリアや感染症にかかりやすい危険性を含んでいるなど、それなりのリスクがあることを覚えておいてください。
<散歩>
柴犬は、かつて猟犬として飼われていた歴史があり、その記憶は遺伝子レベルではっきりと植え付けられています。ですので、柴犬は毎日きちんと散歩させる必要があります。
毎日しっかり散歩や運動をさせることで、元気で長生きできる健康寿命を伸ばすことができますし、病気になりにくい体づくりができます。
また、いろいろな匂いをかがせてあげることで、脳を刺激し、将来痴呆症になるリスクをぐんと減らすことが可能です。
<エサ>
犬はもともと雑食ですので、絶対に食べさせてはいけない食べ物以外は、あまり気にせずなんでも与えて構いません。
しかし、犬は自分でカロリーコントロールすることができないため、栄養のバランスが良くカロリーコントロールもできるドッグフードを与えるのが一般的です。
ただし、柴犬は皮膚疾患になりやすい犬種でもあるため、体質を改善させるために手作り食を実践している飼い主様も多くおられます。
<トリミング>
柴犬の毛種は短毛であるため、毎月のカット(トリミング)は必要ありません。ただし、定期的なシャンプーやグルーミングは必要です。
自宅で行う場合は2~3週間に一度シャンプーし、トリミングサロンにお願いする場合はだいたい月に1度程度連れて行ってお願いするのが良いでしょう。
<柴犬のブリーダーについて>
もし、あなたが柴犬という犬種に拘って、純粋な柴犬を飼いたいと望んでいるのであれば、きちんとポリシーを持って繁殖なさっている志の高いブリーダーさんから子犬を入手することをおススメします。
柴犬というのは、素人が見ても純粋かどうか区別がつかないため、雑種なのに「純粋な柴犬です」と騙されて高額な価格で子犬を売りつけられるということもあります。
また、先ほども少しお伝えしましたが、最近人気の小さな柴犬である通称「豆柴」を、あたかも柴犬の種類のように扱って売っているところからは飼わないほうが無難です。
そもそも、犬のサイズは未知であり、どれくらいの大きさになるかは飼い方にもよりますから、熟練のブリーダーであっても、サイズ予想はとても難しいのです。
このような、お金儲けだけを目的に繁殖・販売しているブリーダーやペットショップから迎えた柴犬は、やはりどこか健康上トラブルを抱えているということが多いんです。
洋犬には多い疾患ですが、日本犬には今までほとんど見られなかった、膝の関節が緩いというような膝蓋骨脱臼といった遺伝性の強い疾患を持って生まれてくる柴犬が残念ながら最近ではとても増えてきています。
家族として迎えたら、どんな子も生涯にわたって世話をするというのは、当たり前のことではありますが、犬種に拘って正当な価格で入手することを決めておられるのであれば、できるだけリスクが低い、シリアスブリーダーと呼ばれる方々から迎えるにこしたことはありません。
<価格>
柴犬の平均価格相場は、13万円~18万円程度です。どの犬にも言えることですが、メス犬の方が若干高い傾向にあります。人気の洋犬であるトイプードルやチワワなどに比べると、日本犬は比較的安価で入手できることが多いのですが、将来良い子供を残してくれそうな母体であったり、ショードッグとして活躍できそうな質の良い犬の場合は、50万円を超えることもあります。
また、平均よりも小さく収まりそうな、いわゆる「豆柴」サイズの場合は、価格はぐんと上がります。安い場合でも、通常サイズの柴犬の倍の値段はするでしょう。
「柴犬の食事」
柴犬などの日本犬は、古くからは民家の庭先で飼育されていたというイメージがありますよね。その時代の食事は、今のようにドッグフードもありませんでしたし、浸透していなかったのでどこのご家庭でも、ご飯にお味噌汁をかけた程度の様な、いわゆる「残飯」を与えていたのが主流です。
今そのようなことをしてしまうと、虐待だと言われかねませんが、昔はそれで長生きできていたのですから、何も問題はなかったわけです。
しかし、現在では「犬は家族」だととらえる方も多く、柴犬であってももちろん家族として飼育する方が大半ですし、昔は外で犬を飼っていたという方も、今では家の中で飼育しているご家族がほとんどです。
ですので、柴犬の食事に対しても気を遣って、飼い主様が選んだドッグフードや手作り食を与えておられるのが一般的です。
ここでは、柴犬に必要な栄養素や、NG食材、どんなドッグフードが良いのか等お伝えしていきます。
<必要な栄養素>
柴犬に必要な栄養素は、「タンパク質」「脂質」「炭水化物」「ビタミン」「ミネラル」「水」です。タンパク質は植物性ではなく動物性たんぱく質が必要で、良質なたんぱく質でなければなりません。
毛、皮膚、爪、筋肉、腱、靭帯、軟骨等を作るアミノ酸を供給するのがタンパク質で、ホルモンや免疫物質生成の材料にもなる必須栄養素です。
タンパク質が足りないと、免疫力が低下し、弱い個体になってしまいます。
病気がちな柴犬で、良質なタンパク質が含まれているフードに変える、手作り食でも良質な肉を与えると症状が改善されるという例はいくつもあります。
次に脂質です。
脂質は生命活動のエネルギーとなりますが、与えすぎには注意が必要です。
脂分を与えすぎることにより、肝臓病になってしまったり、皮膚疾患になってしまうことがあります。特に柴犬は、皮膚が弱い犬種でもありますので、与える割合には注意してください。
炭水化物は、摂取後すぐにエネルギーに変わってくれることから、これも必須要素です。しかしながら、炭水化物は糖分に変化しますので与えすぎると、確実に太りますので注意しましょう。
犬にビタミンが必要なのかと不思議に思われる方もおられるかもしれませんね。でも、これもとっても重要な栄養素なんですよ。
犬に必要なビタミンは下記の通りです。
水溶性ビタミン | ビタミンB1、B2、B6、B12、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、ビオチン、コリン、ビタミンC |
脂溶性ビタミン | ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK |
ビタミンは、体内で合成できないため食事から摂取する必要があります。
ただし、最も重要なことはビタミンは摂取しても、日光に当たらないと身体に作用しないため、食事を与えるだけでなく、十分な散歩が必要です。
また、ビタミン不足は特に皮膚に影響を与えますので、お肌の弱い柴犬には特に必須の栄養素となっています。
次に、ミネラルです。
ミネラルは、体液バランスの調整、細胞の一般機能、神経伝達、筋収縮、そして体の構成(骨)などで重要な役割を果たします。
また、鉄はヘモグロビン(赤血球)及びミオグロビン(筋肉)、ヨードは甲状腺ホルモンの必須成分です。
犬には甲状腺疾患の子も多いので、このような栄養素をしっかり摂取することで予防にもなります。
特に重要なのはカルシウムとリンです。カルシウムとリンは栄養学的に見ても密接に関連しています。いずれも骨・歯の構成成分です。これらが不足すると当然ですが、歯や骨の疾患になりやすくなります。
最後に水です。
水は栄養素というよりは、生命維持になくてはならない成分です。
健康な犬が一日に必要な水の量(mL/日)は、一日に必要なエネルギー量(Kcal/日)とほぼ等しいと言われています。
ワンちゃんの中には、なかなかお水を飲んでくれないという犬もいて、飼い主様を悩ませているケースもよくありますが、水分不足は即、命にかかわります。
脱水状態に注意し、日頃から積極的に水を飲ませてあげましょう。
排尿の量を気にして、飼い主側が水を与える量を控えるなどは、絶対にしてはいけません。
また、水分不足の犬は、尿管結石ができやすくなる傾向にあります。
常に新鮮なお水を飲めるように配慮するのが飼い主の務めでもあります。
<与えてはいけない食べ物>
犬に与えてはいけない食材としては、「ネギ類」「チョコレート」「アルコール」が有名です。この他には、果物だと「ブドウ」「アボカド」なども、中毒を起こす子もいますので与えないほうが無難です。
さらに、桃やイチゴは、好物だという犬も多いのですが、アレルギー反応を起こす場合もありますので、初めて与える際には少しずつ様子見しながら与えましょう。
なお、よく「人の食べ物は犬に与えるべきではない」という方がいますが、これは少し意味合いが違っていて、人が食べれる食べ物は犬に与えてはいけないのではなく、人用に「味付けされた」ものは与えないほうが良いというのが正解です。
味付けされたご飯は、犬には過剰な塩分が含まれていますし、調味料などの成分の中には犬にとっては危険なものもあります。
ですが、もし愛犬に手作り食を与えたいという場合は、手作り食に使う食材はヒューマングレード、つまり「人間が食べても問題ないレベルのもの」を使うようにしましょう。
<ドッグフード>
現在、日本では選びきれないほど数多くのドッグフードが販売されています。国産のものもありますし、外国産のものを輸入して販売しているケースもあります。
こうなると、いったいどのドッグフードが柴犬に合っているのかわからなくなってしまいますよね。
ですので、ここではドッグフードの選び方についてお伝えしたいと思います。
(愛犬のアレルギー食材を除外)
残念ながら、最近ではアレルギーに悩むわんちゃんが多く、その数はどんどん増えてきています。ドッグフードに使用される肉類で、多いのは鶏肉ですが鶏肉アレルギーの柴犬も多いため、自分の犬にまずアレルギーが起こるかどうか判断し、何にアレルギーがあるのかを認識する必要があります。
ドッグフードを食べるとアレルギー症状が出るという場合は、医師に相談してアレルギー検査をするのも良いでしょう。
なお、魚・鹿肉・カンガルー肉・ダチョウは比較的アレルギーが出にくいとされているので、もしアレルギー症状で悩んでいる場合は、このような肉類を使われているドッグフードを試してみるのも方法です。
(国産のものを選ぶ)
外国産のドッグフードも、良いフードはたくさんありますが、配送に時間がかかるため出来立てのフードを手に入れるということは難しくなります。そのため、外国産のドッグフードには保存料が使われていることも多く、健康上心配です。
さらに、外国産のドッグフードは、どんな材料が使われているのか不明瞭なこともおおいため、個人的にはあまりお勧めしません。
(無添加無着色のものを選ぶ)
ドッグフードの安全基準は、実は非常に低く、人間には使ってはいけない添加物もドッグフードであれば許可されているというケースが少なくありません。
しかし、人が食べると危険なのに犬は安全だというのは、同じ哺乳類ですからおかしな話ですよね。中には、とても危険な発がん性物質を使っているドッグフードもあり、健康で長生きしてもらうために選んだドッグフードが実は猛毒だったということもあります。
(値段を見てみる)
例えば、皆さんがスーパーで購入する牛肉って、だいたいいくらくらいか考えてみてください。100gの牛肉がだいたい500円ほどで販売されているのが一般的ですが、もしこの価格帯のものをドッグフードとして加工したとして、いくらくらいになるでしょう?
もちろん、100%牛肉だけを使うのではないので、30%分は肉類を使うとして、1㎏のドッグフードの場合だと、だいたい1㎏2000円~3000円のドッグフードができあがるのが、普通です。
でも、ホームセンター等で販売されている、ドッグフードっていくらかご存じですか?
安いものだと、なんと1㎏180円程度で販売されているんです!
これで、おわかりですよね?
安価なドッグフードに使用されている食材は、一体何を使っているのか?
つまり、あまりに安すぎるのはそれなりの理由があるということです。
安心安全なドッグフードの相場はどれくらいなのか、ご自分できちんと把握し、安いものに飛びつかないことが重要です。
「柴犬のしつけ・トレーニング」
どの犬種であっても、人と共存するにはある程度しつけは必須です。
柴犬は、かつては猟犬として飼育されてきた歴史があるので、その分数ある犬種の中でも賢い部類だと言えます。
ですので、やり方さえうまくいけば、しつけやトレーニングはやりやすいと言えますね。
それでは、しつけやトレーニングについて、どのようにすればいいのか、それぞれ細かく見ていくことにしましょう。
<接し方・コミュニケーション>
柴犬は、飼い主に忠実な犬種ですが、頑固な一面も持っている犬種です。ですので、どこかプライドが高いという印象があるかもしれませんね。
犬と接するには、その犬の特徴や性格を知り、それを活かすことでコミュニケーションが上手に撮れることが多いです。
柴犬に対して、気を遣ったり甘やかせすぎる必要はありません。主従関係をしっかり築くことで犬も迷いがなくなるため、飼い主を下に見てしつけができないという問題が無くなります。
また、柴犬は過去に猟犬であったため、遊び好きで運動好きな犬種ですから、日々の散歩の他に週に1回程度、ドッグランなどで思い切り遊んであげると、より絆が深まるでしょう。
<褒める・叱る>
柴犬のしつけで、大切なのは「褒める」「叱る」のメリハリをつけることです。これについては、女性は少し苦手かもしれません。
というのは、犬に体罰を与えるのは絶対にやってはいけないことですし、逆効果になりますのでしつけにおいて、褒めることや叱ることの違いを全て声のトーンで変化させることになるからです。例えば、甲高い声で「こら~」と言ったところで、犬にしてみれば褒められているのか叱られているのかわからないですし、どちらかと言えば「飼い主さんが喜んでいる」と勘違いするケースの方が多いです。
犬は、人間の悲しみや苦しみを察知し側にいてくれたりする能力がありますが、とはいえ人が持つ微妙な感覚はわかりにくいです。
ですので、褒めるときは大げさなくらい褒めて、叱るときは目を見て低い声できちんと「ダメ」「いけない」と叱りましょう。
くれぐれも、叩いたりしないようにしてください。
<室内>
はじめに、柴犬のような日本犬は過去には庭で飼われているケースがほとんどで、今も外で飼育しているご家庭があることはお伝えしました。
しかし、このご時世では外で飼育するのではなく、柴犬のような中型犬であっても家の中で飼うのが普通になって来ています。もっと言えば、大型犬にいたっても外で飼育されているケースは稀という時代になって来ています。
ただし、室内で飼育するにはそれなりにしつけもしっかりしないと、いけません。
柴犬は顎の力も強いので、家の柱などを齧ってしまったりする子もいます。
さらに、コードを噛んで感電したり、犬にとって危険な食べ物を食べてしまうということなど、室内で飼育するには色々なトラブルを想定する必要があります。
このようなことにならなにように、遊んで良いものとダメなものをきちんと教える、犬にとって危険なものを手の届く場所に置かないなど工夫が必要です。
<散歩>
柴犬は、大きさから部類すると中型犬になります。
もちろん、小型犬であっても散歩は必要ですが、柴犬は運動能力も高く遊び好きなため、毎日散歩は欠かせません。できれば1日1時間以上散歩させるか、時間がなければ1日2回30分ずつに分けるなど、毎日必ず散歩させるよう心がけましょう。
ただし、飼い主さん側にも都合がありますし、悪天候の場合はどうしても散歩ができない場合もあります。このような場合は、あまり考えすぎずに散歩が抜けてしまった日を、週単位で調整する(例えば週末に長めの散歩を行う)などでも構いません。
また、柴犬の中にはどうしてもトイレを外でしかしないという犬もいます。ですが、飼い主の都合や天候不良でどうしても散歩にいけない日があることを想定し、家の中でもトイレができるように訓練しておいた方が、あとあと助かります。
<無駄吠え>
柴犬に限らず、犬の無駄吠えというのは、正直迷惑行為です。犬を飼っている人は犬は吠えるものだと思って気にならない方もおられるかもしれませんが、犬を飼っていない方からすれば、犬の吠え声はただの騒音でしかありません。
ただし、柴犬は比較的無駄吠えをしない犬種だと言われていますので、無駄吠えのしつけはさほど難しいものではありません。
<トイレ>
トイレのしつけかたは、
- ペットシーツを敷いた箇所を囲いで囲む
- その中で遊ばせておき、トイレをしたら褒める
- 囲いの大きさはそのままで、だんだんシーツを敷く範囲を狭めていく
- トイレしたら褒めるを繰り返す。ただし、失敗したら叱るのではなく無視する。
- だんだんできるようになったら、囲いを外す。
- 以上をきちんとできるまで繰り返す
というような順序が一般的です。
さて、犬を飼っている方のお悩みの中で常に上位に挙がる項目が、トイレのしつけです。
犬は賢い生き物ではありますが、人間の言葉を全て理解できるというわけではありません。犬の脳は人間の2~3歳児ほどの能力があると言われているため、自分の名前や「ごはん」「散歩」など200ほどの言葉は理解すると言われています。
しかし、家に来たばかりの柴犬は、まずトイレがどのようなものなのか、どうすればいいのかを知りません。ペットシーツの上で排泄することが、正しいことかどうかすら柴犬にとってはわからないため、根気よく教える必要があります。「なぜできないの?」と頭ごなしに叱るのではなく、覚えるのにも個体差があることを理解し、気長に教えていくようにしましょう。
トイレを覚える期間は、犬によって違いますが必ず覚えてくれるので諦めずにしつけましょう。
大切なのは、トイレができるようになったら褒めるのを辞めてしまう飼い主様が多いのですが、いくつになってもトイレを決まった場所でしているのを見たら、必ず褒めるようにしてください。
<噛む>
犬にとって、噛むという行為は自分の身を守るために欠かせない行動です。
しかし、それはあくまで自然界で生きていく場合での話です。
人に飼われている犬が、飼い主だけでなく他人や、よその犬を噛むことには、何のメリットもありませんし、最悪の場合噛んだ犬は殺処分になりかねません。
噛まれた方はもちろん、噛んだ犬の飼い主も双方が悲しい結果になる「噛む」という行為をやめさせることは、その犬の家族としてやるべき義務だと言えます。
<留守番>
犬を飼うにあたって、四六時中一緒にいることはできませんよね。お仕事を持たれている場合は、その間は家で留守番をさせなければなりません。
留守番のしつけは、最初は5分程度の短い時間からはじめて、だんだん時間を伸ばしていくやり方がベストだと思います。
ある日いきなり数時間も家をあけてしまうと、分離不安の原因にもなりますし、留守中何が起こったのか犬には理解できず、ずっと吠えているということにもなりかねません。
「柴犬の健康」
犬には、それぞれかかりやすい病気や怪我があります。
柴犬は比較的丈夫で健康ですが、それでもかかりやすい病気や注意しておくべきことがありますのでお伝えしましょう。
<かかりやすい病気・けが>
柴犬がかかりやすいとされている病気は、アトピー性皮膚炎、緑内障、甲状腺疾患などです。皮膚が弱い個体が多いので、アトピー性皮膚炎やアレルギー症状で悩む柴犬が多いようです。
これを改善したり予防するのは、まずは免疫力を高めることです。日々の食事や運動に注意して飼育すれば快方に向かっていくでしょう。