動く宝石とも異名を取る、ヨークシャーテリア。
その別名通り、輝く被毛は非常に美しく、愛好家も多い犬種です。ヨークシャーテリアのファンは、昔から一定数おり、日本でもかなりポピュラーな犬種です。
ヨークシャーテリアは、しばしば親しみを持って「ヨーキー」と呼ばれることもあります。
また、1頭飼うと、その魅力に嵌り、2頭3頭と多頭飼いする方も多くおられます。
今回は、そんなヨークシャーテリアについて、この犬種の特徴や飼い方などを徹底解説していきましょう。
「ヨークシャーテリアの歴史」
まずは、ヨークシャーテリアの歴史から紐解いていきましょう。
<年代>
ヨークシャーテリアは、19世紀中ごろ、イギリスのヨークシャー地方の工業地帯の労働者の家屋を荒らすネズミを捕まえるために間接狩猟犬として作出されました。
1886年にイギリスのケンネル・クラブ(畜犬クラブ)で正式に公認された比較的新しい犬種です。
あの愛らしいヨークシャテリアは、実はもともとは猟犬だったのですね!
<原産国>
ヨークシャーテリアの原産国は、イギリスです。
1800年代後半にアメリカに初上陸。かつては、オーストラリアン・テリアやオーストラリアン・シルキー・テリアと混同されていました。
1932年にこれら3犬種の交配が禁止されますが、それまで統一されたスタンダードは確立されなかったのです。
<犬種名の由来>
1862年に「ブロークン・ヘアード・スコッチ・オア・ヨークシャー・テリア」と命名されたのですが犬種名が長すぎたためヨークシャーテリアと呼ばれるようになりました。
<種類>
ヨークシャーテリアには、特に種類はありません。
犬種によっては、大きさで種類わけされていたり、毛の長さで同じ犬種でも呼び方が変わることはありますがヨークシャーテリアの場合はそのようなことはありません。
「ヨークシャーテリアの特徴」
次に、ヨークシャーテリアの特徴を細かく見ていくことにしましょう。
<毛色>
ヨークシャーテリアは、成長とともに毛色の変化が楽しめる珍しい犬種でもあります。
幼い頃の体毛は全てブラック・タンという身体が黒くて眉の部分がタンカラー(なめし革の色)なのですが、成長するにつれスチールブルーやゴールド、シルバーなど毛色が7回ほど変化します。
<大きさ(高さ、体重)>
JKC(ジャパンケネルクラブ)が公認している純犬種の中ではチワワに次ぐ小型な犬種であり、成長しても2~3kg程度にしかならない個体が多いです。
しかし、ヨークシャーテリアは、マンチェスター・テリアやスカイ・テリア、絶滅種であるクライズデール・テリア(ペイズリーテリア)やマルチーズなど様々な犬種を交ぜ改良したものであることや、犬種自体の歴史が浅く血統が不安定であることなどの要因により、しばしば7kg程度までの大きなヨークシャーテリアが発現することもあります。
ヨークシャーテリアを専門に繁殖を行っているブリーダーの中には、5㎏以上が本来のヨークシャーテリアの姿だとおっしゃる方もいるほどです。
FCI(国際畜犬連盟)では、2㎏未満のヨークシャーテリアは認可されず、また3.1kgより大きいものも認可されません。
ヨークシャーテリアの平均身長は28cmとなっています。
<臭い>
ヨークシャーテリアは、他の犬種に比べて若干体臭がきつい犬種ではあります。
カットの方法や、日頃の手入れの頻度にももちろんよるのですが、マズル(口)周りをカットしないスタイルをさせている場合は、口の周りの毛が、口の中に入ることでどうしても口臭が周りの毛に移ってしまうため、顔を近づけるとかなり臭います。
また、個体差はありますが、体表がべたついているヨークシャテリアも多いため、頻繁に洗っているのにすぐに臭うということもあります。
これらを防ぐには、歯磨きを徹底し歯周病の予防をしっかり行うことと、良質な脂分を使用しているドッグフードを食べさせることで、かなり体臭が改善されます。
<性格>
実は、もとは猟犬として作出された歴史があるヨークシャーテリア。
そのため非常に賢く勇猛な部分もあり、頑固でプライドが高く強気な一面も。
大変勇敢で、負けん気が強く、頑固で自己主張もする「テリア気質」です。
一方で、主人と定めた相手には深い信頼を寄せ、飼い主と離れると食欲が落ちる、元気が無くなるなど、いじらしく忠実な面を見せてくれます。
どの犬にも、同じような傾向がありますが、メス犬よりオス犬の方が温厚な性格であると言えます。
「ヨークシャーテリアの飼い方」
次に、ヨークシャーテリアの飼い方について詳しくご説明していきましょう。
<飼う場所(室内)>
ヨークシャーテリアは、番犬ではなくネズミ捕りのために開発され改良された犬種です。ですので、当然家の中で飼育するのが普通です。
ヨークシャーテリアとして犬種確立されてからもずっと、人間と生活を共にしてきましたので、外での飼育は最適ではありません。
<散歩>
ヨークシャーテリアのように、見た目の美しさをドッグショーで競うような犬種については、さほど動かなくても良いというブリーダーも中にはいますが、犬という動物としてそれではあまりにも可哀想ですし、観賞用としてではなく、あくまでも愛犬として飼育していくのですから、散歩は絶対に必要です。
また、猟犬の気質がありますので、もともとは活発な犬種ですから散歩をしっかりさせることで、健康で長生きしてくれます。
散歩させる時間は、中型犬や大型犬のように何時間もさせる必要はありませんが、ヨークシャーテリア自身が疲れないのであれば、好きなだけ散歩させてあげて構いません。
<エサ>
ヨークシャーテリアは、チワワ同様に足の関節が弱い個体が多く、膝の脱臼で悩むわんちゃんもたくさんいます。
膝や足が弱い犬種に一番大敵なのは肥満です。
ですので、しっかりカロリーコントロールできるドッグフードが良いでしょう。
もちろん手作り食を与えても構いませんが、栄養バランスに注意し、肉類や脂分過多にならないよう注意しましょう。
<トリミング>
ヨークシャーテリアは、その美しい絹のような毛質から「動く宝石」と言われることで有名です。
ヨークシャーテリアの正式な姿、すなわち「スタンダード」と呼ばれる形態は、被毛が地面まで届くフルコートであり、日常生活では被毛の擦り切れを防止する為、毛先を紙で包んでまとめるラッピングと呼ばれるスタイルにしています。
ショーへの出場などを意識しない家庭犬では、短く刈り込んだサマーカットにしているヨークシャーテリアは多いです。
いずれにせよ、ヨークシャーテリアは、定期的なトリミング(カット)が必要な犬種です。そのままにしておくと、細い毛が絡まったり毛玉ができたりしてしまいますし、不衛生になります。
ヨークシャーテリアのトリミングについては、希望のカットスタイルにもよりますが、平均で1回約5,000円前後かかります。また、月に1回もしくは2か月に1度程度のトリミングが一般的です。
ただし、ヨークシャーテリアの毛質はとても繊細ですし、カットスタイルを飼い主様の希望通りにしてくれるトリマーさんは少ないため、ヨークシャーテリアのトリミングに慣れているトリマーさんを探しましょう。
トリミング(カット)は定期的に行えば良いのですが、ヨークシャーテリアの場合はブラッシングは毎日行うのが理想的です。
ヨークシャテリアのブラッシングにもコツがありますので、トリマーさんにやり方を聞いていつまでも美しい被毛を保つ努力をしましょう!
<断尾について>
ヨークシャーテリアの尾は本来は長いのですが、生後間もなく3cm程の長さに断尾されることがあります。
この理由としては、その形状が本来のスタンダードだということで、ドッグショーに出陳するには必ず尻尾を切ってしまうのが普通です。
この断尾のもともとの理由は、猟犬であった時代に、ヨークシャーテリアが獲物を見つけると、尻尾を振ってしまい、それで獲物が気づいて逃げてしまうからという理由からです。
ヨークシャテリアの他にも、プードルやコーギー、ボクサー、ミニチュアピンシャーといった犬種が未だ断尾されているケースが多いです。これらの犬種は、もともと尻尾が短かったと勘違いなさっている方がおられますが、そういうわけではありません。犬種によっては、断尾だけでなく耳も切ってしまう、断耳されるわんちゃんもいます。シュナウザーなどはその典型的な例です。
しかしながら、現在では愛玩犬として飼われるようになったため、断尾は全く必要が無く、むしろ虐待だとする意見もあります。
そこで、決まったブリーダーから迎える場合は、ショーに出すつもりは無い、ペットとして飼うつもりである旨伝えると、断尾せずにそのまま引き渡してくれるブリーダーも増えてきています。
一方、なぜか尾の長さや切り方にこだわりを持っているブリーダーも多く居て、断尾は他の人には絶対にさせない、自分が信頼している獣医師でないとさせない、飼い主がブリーダーに黙って尾を切った場合は酷く叱られるという不思議な風習があるのを聞いたことがあります。
ただし、断尾は獣医師でなければしてはいけない行為ですが、何度も言うように断尾や断耳は無駄な行為ですので断尾を行わない、断る獣医も増えてきているようです。
<価格>
ヨークシャーテリアは、ブリーダーから直接迎える場合は、16万円~23万円が相場となっています。ただし、この価格はいわゆるペットタイプの値段で、ショーに出せるレベルの犬質である、両親犬がチャンピオン犬で良血統、母体として将来活躍できそうというような場合は、50万円を超えることはざらにあります。
また、ヨークシャテリアにおいても、オス犬よりメス犬の方が若干値段が高いのが通常です。
「ヨークシャーテリアの食事」
ヨークシャーテリアの食事は、一般的にはドッグフードを与えている方が大半ですし、カロリーコントロールや栄養バランスをきちんとしたほうがいいので、そういう意味でもドッグフードを与えるのが手軽です。
ここでは、ヨークシャーテリアに必要な栄養素や、NG食材についてご説明します。
<必要な栄養素>
ヨークシャーテリアに必要な栄養素は、「タンパク質」「脂質」「炭水化物」「ビタミン」「ミネラル」「水」です。
タンパク質は植物性ではなく動物性たんぱく質が重要で、しかも良質なたんぱく質が必要です。
タンパク質はヨークシャーテリアの毛、皮膚、爪、筋肉、腱、靭帯、軟骨等を作るアミノ酸を供給し、ホルモンや免疫物質生成の材料にもなる必須栄養素です。
タンパク質が足りないと、免疫力が低下し、弱い個体になってしまいます。
ヨークシャーテリアの中には、皮膚病で悩んでいる犬も多いため、そのような場合や特にこのたんぱく質の見直しが必須です。
次に脂質です。
脂質は生命活動のエネルギーとなりますが、与えすぎには注意が必要です。
脂分を与えすぎることにより、肝臓病になってしまったり、皮膚疾患になってしまうことがあります。
体内に入った食べ物は、胃腸を通過し肝臓で栄養素かどうか判断されますが、脂に関してのみ直接心臓に作用します。ですので、粗悪な脂を与え続けていたり過度な脂質を摂取していると心臓疾患になりやすいことがわかっています。
次は炭水化物です。この栄養素は、摂取後すぐにエネルギーに変わってくれることから、これも必須要素です。しかしながら、炭水化物は糖分に変化しますので与えすぎると、確実に太りますので注意しましょう。炭水化物と言って思い浮かぶのがお米ですが、急性膵炎のわんちゃんにはお米は大変危険な食材になってしまいますので、気を付けてください。
次はビタミンです。
ビタミンの中でも犬に必要なビタミンは下記の通りです。
水溶性ビタミン | ビタミンB1、B2、B6、B12、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、ビオチン、コリン、ビタミンC |
脂溶性ビタミン | ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK |
ビタミンは、体内で合成できないため食事から摂取する必要があります。
ただし、最も重要なことはビタミンは摂取しても、日光に当たらないと身体に作用しないため、食事を与えるだけでなく、十分な散歩が必要です。
また、ビタミン不足は特に皮膚に影響を与えますので、肌トラブルや皮膚トラブルになりやすいヨークシャテリアには、ビタミンをしっかり与えて日光に当たらせ、作用させる必要があります。
次に、ミネラルです。
ミネラルは、体液バランスの調整、細胞の一般機能、神経伝達、筋収縮、そして体の構成(骨)などで重要な役割を果たします。
また、鉄はヘモグロビン(赤血球)及びミオグロビン(筋肉)、ヨードは甲状腺ホルモンの必須成分です。
犬に特に重要なのはカルシウムとリンです。カルシウムとリンはいずれも骨・歯の構成成分です。これらが不足すると当然ですが、歯や骨の疾患になりやすくなります。ヨークシャテリアは歯が弱い犬種ですので、カルシウムをしっかり摂りましょう。
最後に水です。
水は栄養素というよりは、生命維持になくてはならない成分です。
健康な犬が一日に必要な水の量(mL/日)は、一日に必要なエネルギー量(Kcal/日)とほぼ等しいと言われています。
ワンちゃんの中には、なかなかお水を飲んでくれないという犬もいて、飼い主様を悩ませているケースもよくありますが、水分不足は即、命にかかわります。
脱水状態に注意し、日頃から積極的に水を飲ませてあげましょう。
ヨークシャテリアは尿管結石ができやすくなる犬種でもあります。
常に新鮮なお水を飲めるように配慮してあげてください。
<与えてはいけない食べ物>
ヨークシャテリアに与えてはいけない食材としては、「ネギ類」「チョコレート」「アルコール」が知られています。この他には、果物だと「ブドウ」「アボカド」なども、中毒を起こす子もいますので与えないほうが無難です。加工品であるレーズンも同様です。
意外な食材ではナッツ類です。
ナッツ類で大丈夫なものもありますが、犬には与えないほうが良いものもあるのでナッツ全般はあえて与える必要もありませんし、辞めておいた方が無難です。
さらに、桃やイチゴは、好物だという犬も多いのですが、アレルギー反応を起こす場合もありますので、初めて与える際には少しずつ様子見しながら与えましょう。
また、トマトも葉っぱがある周りの青い部分は、毒素があると言われているので、ここも与えないようにしましょう。
なお、食材ではありませんが、普通に生えている植物の中にも、犬が口にすると危険なものはたくさんあります。散歩の際に、落ちているモノや生えているものをなんでも口にしてしまうような場合は、それをさせないようにきちんとしつけなければ、最悪死亡する場合もあります。
よく見かける植物では、家の生け垣に利用される、イチイ、キダチチョウセンアサガオ、シキミ、セイヨウキヅタ、センダン、ソテツです。
これらの植物は、誤って葉っぱや種子を食べると死に至る危険性が高いので、注意してください。
他には、これは当たり前ですが人間用に味付けされたご飯は、犬には過剰な塩分が含まれていますし、調味料などの成分の中には犬にとっては危険なものもありますので与えてはいけません。
<ドッグフード>
ドッグフードには、量販店やペットショップで販売されている物や、通販でしか手に入らないこだわりのドッグフードなどさまざまな種類があり、何を与えればいいのかわからないという方もおられると思います。
また、ヨークシャテリア用など犬種別に作られたフードもありますが、基本的にはドッグフードであればどのフードでも構いませんが、フードの粒の大きさが違いますので、小型犬用として販売しているフードを与えましょう。
ただし、市販のフードにはヨークシャテリアの身体に良くない添加物が使われていたり、その添加物が発がん性物質の場合もあったりと、危険なドッグフードも販売されていますので、飼い主様として愛犬に与えても安心なドッグフードを是非見つけてください。
「ヨークシャテリアのしつけ・トレーニング」
ヨークシャテリアだけでなく、どんな犬種も人と共存するためには、犬にも妥協してもらう部分もあり、そのためのトレーニングは必要になってきます。
なお、ヨークシャテリアは、かつては猟犬として飼育されてきた歴史があるので、その分しつけはしやすい犬種だと言えます。
ただし、ヨークシャー・テリアは負けん気が強く、用心深いテリア気質のため、犬を甘やかせてしまい聞き分けなく育ててしまうと無駄吠えや無駄咬みの原因となってしまいます。ヨークシャテリアを飼い始めてすぐの、トレーニングが重要です。
それでは、しつけやトレーニングについて、どのようにすればいいのか、それぞれ細かく見ていくことにしましょう。
<接し方・コミュニケーション>
ヨークシャーテリアは、飼い主に忠実な一面もあります。また、かつては猟犬として獲物を捕まえていた時代があったため、そういう意味では非常に遊び好きな部分も。
この特性を活かした接し方をしていくと、より深く関係性が築けることでしょう。コミュニケーションの方法としては、おもちゃで遊んであげるなどですが、猟犬の資質を刺激するような遊びが適していると言えます。
ペットショップでは、猫用のおもちゃとしてまるで本物のようなネズミの玩具が販売されているのですが、このおもちゃで遊んであげるととっても喜びますよ!
<褒める・叱る>
ヨークシャテリアをしつけるときには、褒めるときと叱るときのメリハリをつけることが重要です。褒めるときは、大げさなくらい褒めちぎり、叱るときは声を低くして「ダメ」と言葉と態度で示します。その時、絶対に体罰は行ってはいけません。
また、褒めるときも叱るときも何より重要なのはそのタイミングです。
例えば、何かいたずらをして、しばらく経過してから叱っても犬には何故叱られたのかわかりません。やってはいけないことをやってしまった場合、見つけたらすぐに叱りましょう。
<室内>
ヨークシャーテリアは、室内飼いが基本です。
そのため、家で過ごすためのいくつかの決まりをヨークシャテリアにも覚えてもらう必要があります。室内向けのしつけですが、トイレはもちろんのこと、高いところに上らないようにする、高いところから飛び降りないようにするなど、怪我をしないためのしつけもとても大切です。
<散歩>
ヨークシャーテリアは、あまり散歩させなくても良いという方もおられますが、決してそんなことはありません。
そもそも、犬で散歩を必要としない犬種というのはありえません。
ただし、毎日何時間も散歩をさせる必要はなく、1日20~30分程度の散歩を1日1回~2回程度行うので良いでしょう。
<無駄吠え>
ヨークシャーテリアの鳴き声は、とても甲高いのが特徴です。ですので、この声が無駄に鳴り響いていると、ご近所にとって非常に迷惑になります。
無駄吠えはしつけで改善されますので、ご近所さんに配慮するという意味でも、迎えてすぐ無駄吠えをしないようしつけていきましょう。
<外出時>
ヨークシャテリアのような小型犬は、バッグ一つでどこへでも連れて行けるのが、飼い主様にとっても嬉しいことですよね。
可愛いお洋服を着せて、おめかしして一緒にお出かけするのが何より楽しみだと思われている飼い主様もおられるでしょう。
でも、この時も周りに迷惑をかけないようにしつけやトレーニングは必須です。しつけというよりは、飼い主様自身がマナーを理解して守るということが重要になってきます。
最近ではペット同伴OKの施設も増えてきましたが、ペット不可の施設にはたとえキャリーバッグに入れて大人しくさせていても、ルールはルールですから絶対に入ってはいけません。
世の中には、どれだけ小さく可愛い犬でも、苦手だという方もいますし動物のアレルギーがある方もいます。そのような方に配慮できるような、思いやりのある犬の飼い方をしたいものですね。
ペットOKのカフェやレストランでも、
*人用の食器は絶対に使わせない
*ノーリードにしない
*椅子に直接座らせない
*無駄吠えをさせない
*他のわんちゃんとトラブルにならないよう注意する
*他のわんちゃんに勝手におやつを与えない
など、犬とお出かけするにあたってのマナーやしつけについても、きちんと知ったうえで行動しましょう。
<トイレ>
ヨークシャーテリアへのトイレのしつけかたは、
- ペットシーツを敷いた箇所を囲いで囲む
- その中で遊ばせておき、トイレをしたら褒める
- 囲いの大きさはそのままで、だんだんシーツを敷く範囲を狭めていく
- トイレしたら褒めるを繰り返す。ただし、失敗したら叱るのではなく無視する。
- だんだんできるようになったら、囲いを外す。
- 以上をきちんとできるまで繰り返す
というような順序が一般的です。
トイレのしつけができないと悩んでいる飼い主様はとても多く、ある調査では犬の飼育で何に悩んでいるのかを調べたらトイレのしつけだと統計結果が出た事例があります。
トイレがなかなか覚えられないヨークシャーテリアに「なぜできないの?」と頭ごなしに叱るのではなく、覚えるのにも個体差があることを理解し、気長に教えていくようにしましょう。
トイレを覚える期間は、犬によって違いますが必ず覚えてくれるので諦めずにしつけましょう。
大切なのは、トイレができるようになったら褒めるのを辞めてしまう飼い主様が多いのですが、いくつになってもトイレを決まった場所でしているのを見たら、必ず褒めるようにしてください。
<噛む>
本来犬にとって、噛むという行為はとても自然な行為です。
向かってくる敵に対して、噛むことで自分を守るのは動物として自然な行為ですから、例えば小さなお子様が突然犬に触ろうとして噛まれてしまったということがありますが、それは犬にとっては悪いことだと思っていません。
しかし、人を噛んだ犬の結末は残念な結果が多く、最悪の場合殺処分されることもあります。噛み癖のある犬は、早いうちに直さないと大変なことになってしまいます。
<留守番>
お仕事を持たれている場合は、その間は家で留守番をさせなければなりません。
留守番のしつけは、最初は5分程度の短い時間からはじめて、だんだん時間を伸ばしていくやり方がベストです。
ある日いきなり数時間も家をあけてしまうと、分離不安の原因にもなりますし、留守中何が起こったのか犬には理解できず、ずっと吠えているということにもなりかねません。
留守中は、ケージの中に入れておく方が安心ではありますので、日頃からケージに入る訓練をしておき、その場所が自分にとって安心できる場所だと認識させることが重要です。
「ヨークシャテリアの健康」
犬には、それぞれかかりやすい病気や怪我があります。
ヨークシャーテリアの平均寿命は15歳前後です。
もちろん、それ以上長生きする子もいますし、残念ながら早く亡くなる子もいて、こればかりは子犬の時点で長生きするかどうかは全くわかりません。
しかし、ヨークシャーテリアという犬種の特性や、かかりやすい病気、遺伝的な系列を知ることで防げる病や、緩和できる症状もありますので、理解しておきましょう。
ヨークシャテリアの原産国はイギリスです。ですので、遺伝子的にはイギリスの気候が過ごしやすい身体であるわけです。
つまり、イギリスとは違う日本の気候は、ヨークシャテリアにとっては過ごしにくい環境であるといえるのです。それは、例え日本で生まれ育ったヨークシャテリアであったとしても同じです。
とはいえ、住んでいる環境をイギリスの風土にすることは不可能ですから、どんな病気になりやすいか、どのように環境を整えればいいのかを知っておき、対策をしておくことは重要です。
<かかりやすい病気・けが>
ヨークシャテリアがかかりやすい病気は、気管虚脱、尿管結石、水頭症、膝蓋骨脱臼、網膜形成不全などです。
水頭症や膝蓋骨脱臼などは、遺伝性疾患でもありますので、ブリーダーから子犬を迎えるという場合は特に、その犬舎でこのような疾患が発生していないかどうかを知る必要があります。
ブリーダーからは、絶対に言いませんので、気になっている犬舎があるのでしたら、そこから迎えた方の口コミを頼りにされると間違いないでしょう。
水頭症は、生後3カ月くらいに発症するケースが多く、発症してしまうと残念ながら生存できる可能性はかなり低くなります。手術方法もありますが、今まで成功した事例はありません。
膝蓋骨脱臼は、手術でしか完治しませんが、片足約20万円ほど費用がかかるため、ペット保険に加入しておいたり、そのために貯金しておくなどしておかれると良いでしょう。
また、ヨークシャーテリアの中には、水をなかなか飲まないために尿管結石になってしまう子もいますので、積極的に水分を摂取させるよう心掛けてください。